今回は、先週(8/8-10間)行ったカナダサイトでのティンバーフレーム躯体加工状態検品の様子を報告。

躯体加工の最終段階では、土台から小屋組まで各通り(タテヨコ)での仮組を全て行い、材表面の状態や仕口継手の納まり具合、鉛直・平行の精度等を確認します。

弊社が提案するプランにて、お施主様のご意向を確認しながらも基本的に標準採用をしている丸太大黒柱。木目緻密・通直な原木を厳選するのは勿論ですが、自然のままですから加工には工夫が必要になります。それでも圧倒的存在感と安心感には代えられませんからお施主様にもそこは絶対的に感じて欲しいと思っています。

今回は土台にカナダB,C,州産地が誇るウェスタンレッドシダーを採用。
上屋のD-Firもそうですが、弊社のティンバーフレーム躯体は
全て芯材で計画されています。建物に求められる強度、耐久防虫性からすれば当然の事とも言えます。

出荷前に施す保護塗装のカラーを最終確認。含水率19%前後になるまで十分な乾燥期間を設けて加工した躯体も、そのまま貨物船に載せて太平洋を渡って高温多湿な日本へ輸送すれば再度湿気を含んでカビの発生を招く事は火を見るより明らか。輸送や運搬の際に傷がつくリスクもありますが、そんな部分的な事は再塗装で十二分にリカバーは可能。それよりも保護塗装をしてカビの発生を防ぐ方がはるかに優先事項となります。
デモコンナカンタンナコトガワカラナイケンチクヤサンが居るのも事実。何とかしたいものデス。

お施主様。
弊社が創業以来(実際には創業前から)の付き合いのMr.R一家です。私からすると理想的な家族経営で事業継承も出来ています。彼らも自身が加工したティンバーフレームが日本で建てられていることに誇りを以て取り組んでいます。日本に呼んだときは是非会ってやってください。
現場は配筋検査適合判定を経て、型枠組・ベタ基礎底盤コンクリート打ち~立ち上がりコンクリート打ち・養生・型枠解体と順調に工程が進行。
並行して合併浄化槽敷設、給水給湯排水等の設備先行配管も済ませ、基礎コンクリートの養生管理をしながらカナダで加工中のティンバーフレーム躯体が到着するのを待ちます。
現場は地盤補強工事を経て基礎工事の基礎である工程の
根伐り~床付~割栗石・砕石敷~転圧~防湿シート敷~捨てコン打ち
底盤外周型枠組~鉄筋組へと進行。
その段階で住宅瑕疵担保責任保険・検査実施機関による「基礎・配筋検査」を受けますが、その前に社内検査を実施して施工精度や是正点の有無を確認しておきます。
底盤はタテヨコD13 150c/c


立上り外周部・内周部


人通口廻り補強とコンクリートかぶり厚さ設定確認


全て図面通りである事は云うまでもありませんが、各所の納め方が次の工程に向けて(この場合は底盤コンクリート打ちで不純物残置の有無等)も配慮がされているか確認しておく事も必要です。

地鎮祭の時に神職より授けて戴いた鎮め物を建物中央部に埋納
鎮め物は建物完成後に暮らすご家庭に安穏と幸福をもたらすと考えられていますので、この工程で最も重要な作業とも言えます。
お施主様、確かに埋納させて頂きました。
また、基礎・配筋検査も何の指摘事項もなく適合判定を受けています。
敷地内造成後に行った再地盤調査の結果から、十二分な支持力が得られる工法として選択した*ΣI工法にて、計40本を貫入させました。
*
Σ-i工法(シグマ・アイ
工法)は、先端に4枚の掘削刃とスパイラル状の翼部が取り付けられた鋼管杭を
地盤中に回転貫入させる
工法


さて、
これらの画像を見て何をお考えになるだろうか。
説明するまでもなく、軒樋から立派に成長した草木だが、
この建物は高原山間部の別荘地内に存在しているんだ。
因みにこの建物は、
日本の誰もが知っている、超一流と云われるハウスメーカー様に因って建築されて2年が経過した所だ。
さて、ここで冒頭の質問に戻る。
この状態、誰が見ても良い状態ではないのはお分かりいただけると思うが、果たしてこれは何故こんなことになったのだろうか。
お施主様が小まめに軒樋を掃除しないから?
鳥が種を運んでくるから仕方ない?
現場人から言わせればどちらもNonだ。そして全く以てしてお施主様にも鳥にも責任はない!と断言できる。
これは、このような立地に於ける建物配置、屋根向きが不適である事が根底にあり、それに輪を掛けて標準仕様だか何だか知れない雨樋をそのまま周囲の環境も考えずに設置したことに尽きる。普通は設計段階でもわかるはずだが、現場施工中だって周囲の建物の様子を見れば理解できるはずだ。雨樋設置が例えお施主様の要望であったとしても、容易にこうなることが想定出来れば断固として不設置を進言し、雨だれやハネ対策の方への進言をすべきである。標準仕様というマニュアルには立地条件の考慮というものは無いのだろうか?さらにそれらマニュアルを覆す現場管理への責任感と経験値というものは無いのだろうか。
様々な言い分もあるかと思うが、現場人的には0ゼロからお施主様と創り上げる住まいの建築現場に、マニュアルに書いてある事しか対応できない輩は即刻退場を申し渡す所だ。これが日本を代表するハウスメーカー様の現場と思うと悲しくなる。