今回は第10回で述べた「
良い間取り」についてのコラムに付け足しで…。
現場人もWebサイトでは
無料プラン作成と表記している通り、住まい創り計画において間取りを考える事は比較的早い時期から取り掛かると思う。
有難くもプラン作成のリクエストを戴く際にはご要望も書いていただくのだが、少しばかり残念なのが「今の状況」を基にご要望を出される方が多いという事実。
私はこの様な方を失礼ながら「チラシ症候群に罹りつつありますね。」と言ってしまう。この病気は週末になると新聞に沢山入るチラシに載った間取り図やネットに氾濫する○○間取り集などを見て「ここは子供部屋」「ここは寝室」と家に今の自分達を無意識に当てはめてしまい、そこから発想が抜け出せなくなってしまっている方が発病するものだ。
発病者は「我が家は4LDKじゃなければダメ!」「部屋数は○つ欲しい!」「3LDKの家だと幾ら?」
と、そこには全く生活シーンを感じさせない要件ばかりが提示されてくる。そのような方に遭遇すると間取り集等を参考にする事は完全否定こそしないものの、それはあくまで他人の視点で形成された間取りであるということを認識し、部屋の数は生活シーンを考慮して要件を出した上の結果であるから、今からそれに固執することはありませんとアドバイスさせて頂く。
我々創り手側には、生活シーンに密着した要件出しをすればするほど、それを具体化して提案してくる力量も計る事が出来、住まい手の皆様には建築会社選定に向けて一石二鳥となるポイントがあるのだ。
間取り考える事は皆様の住まい計画の中で楽しい作業の一つだと思うが、「チラシ症候群」に罹らないように間取りを見ながら自分がその部屋に居る光景や、そこから見える景色などを思い描くことに集中してほしい。
その方が心もワクワクしてくるハズだ。
間取りは、弊社の場合基本的に法規上(安全上)の制限を十分な余力を持ってクリアさせるという以外全く自由に形成できる。これは大部分の建築会社でもしかりだと思うが、中には「フリープラン」と称し何通りもある間取りパターンからお客様のライフスタイルに合わせて自由にお選びいただけます!という広告も見かける事もある。これでは本当の「フリープラン」とは言えない。結局は他人が作ったどれかの間取りに自分を合わす、そう、「家に人を合わす」と云う事になってしまうからだ。
因みに弊社では、「フリープラン」の定義として、間取りは勿論の事、躯体の樹種や内外装の仕様・設備や備品と云ったところまで全てが自由である事とし、「完全フリープラン」しかるに前回お話し通り
「標準仕様」の無いのが「標準仕様」となるのだ。
こんな事を言うとそのような広告をする会社からは、ある程度の間取り選択枠を設ける事で生産効率や性能の画一化が図れ、コストダウンにも繋がっているといった反論もよく戴くが、効率や性能の画一化は造り手側の都合であり、その分のコストダウンは別のところでも十分図れると思っているし、実際そのようにしている。
第一、お施主様にとって一番大事な希望要件を反映させる間取り形成の部分が、コストダウンの手段に使われていいのかという疑問を私は感じているからだ。
間取りとは、文字通り「間(あいだ)を取り持つ」事。明確な目的を持った部屋と部屋を関連させながら組み合わせていった結果に出来あがるものなのだ。だから「完全フリープラン」なのは当たり前。名ばかりのフリープランに惑わされない様ご注意を。