我が国は南北に2800kmもある国土且つ山地が70%を占める森林国でもあります。
そんな国土に住まいを構える場合、
全て同じような仕様で良いのでしょうか。当然そんな訳はありません。
単純に住まいの地が北か南かに因っても違いますし、例えば同じ北でも標高や海沿いなのか山間部なのかでも変わってきます。
では、多様な立地・気候条件のある我が国において住まいの設計や建築施工を依頼される側はどのような知識と技術が求められるのでしょうか。
自社が勧める仕様として採用する断熱材の性能に関する知識とそれを確実に施工する事が出来る技術があればそれでOKなのでしょうか。
自社が採用する〇〇工法〇〇仕様なら全てカバーしているのでしょうか。
私の考えは何れもNonです。
おそらく、住まいを持とうと思われた時に「買おう」と思うのではなく「建てよう」と思われた方は私(弊社)と同じ答えになったのではないでしょうか。
そうです。
少なくとも「建てよう」と思われた方や私は、その会社やメーカーさんが「
弊社商品の仕様は完璧です」と話される事に違和感を感じています。
これは、ある一つの建材や工法に於いても同じです。
この建材の性能がいいから絶対これを使いたい、とか
ちょっと前にあった内・外断熱論争のように〇〇工法がいいから絶対これにしたい、とか。
これは、依頼される側だけではなく、
依頼するお施主様側にも申し上げたいのですが、建材や工法は建物のある一部分でしかない所なのに、その性能の良し悪しで全てを決めてしまうのはトータルバランスとしての性能確保に至らないことが多いという事をご理解頂きたいのです。
多様な立地・気候条件のある我が国、様々な材料と建材の組み合わせで出来上がる住まい、この二つが組み合わさる条件では、一点豪華主義よりそれらの条件をいかにバランスよく吸収するかが求められるのです。
それに加えてお施主様のお気持ちやご予算も考慮しなくてはなりません。
「ご予算は?」「…それでは弊社の仕様は建てられません」なんてことがあってはいけません。住まいを持つという事は「安全・快適・健康的で楽しい我が家」を実現する事。でもその裏に大抵の方は大変な段取りを重ね、一生分とも云える気構えも整えたハズです。
そんな条件に於いて本当に「標準仕様」って成立するのでしょうか。
勿論、私だって経営者の端くれ、それがコスト面での指標になることぐらいは理解しています。お施主様にとっても基準が見えて便利な事かもしれませんし、業者側とすればそれが市場原理に於いて仕入れ価格に反映し、利益の幅に繋がるって事もあります。
でも、それでは何かが違うな。
コスト面については何十項目にも及ぶ建築工事の中から他にいくらでも調整する所があるし、そもそも建築に掛かる費用以外の部分を建築費に盛り込まなければいいのだし。
だからして、弊社は「標準仕様の無いのが標準仕様」
あなたとあなたの家族、立地と気候特性に合うバランスの取れた性能を発揮し、安全・快適・健康的で楽しい我が家を実現する為には一にも二にもお話し合い。じっくりと積み重ねていきましょう。
そのお話し合いの積み重ねが施工の現場でも活かされてくるのです。
そう、
住まいは買うものでは無くて、
建てるものですからね。