住まいの快適性を表す時、断熱性や気密性、遮音性などが先ず挙げられると思う。それらがいかに優秀かを示す難解な単位で表される(おそらく一般の方には…)数値の比較を以て判断するアレだ。勿論、現場人も建築屋の端くれとしてそれら数値の理解とどのようにそれらを実現させるかは熟知しているつもりだ。つもり?実現させているんじゃないの?とお小言を戴きそうだな。正直に言おう!メーカーさんのカタログ値通りに性能を発揮させている住宅が世の中にどれくらいあるだろうか。怒られるかもしれないが50%もあればいい方じゃないかと思う。それはいくら工場で生産したって、現場で人が作業して様々や部材・建材を組み合わせて造る限り、立地条件や方位・間取り、作業の仕方で数値が数値でなくなってしまうことがあるからに他ならない。「つもり」と云ったのは現場で永遠のテーマであるそれら数値の100%にいかに近づけるか常に研鑽し、実行に移すingでの事だからだ。それには設計段階からも十二分に考慮しておくことが必要だ。単にこの性能を持つこの建材を使えば十分な性能が得られる…なんて単純な事で済めば苦労はしないのだ。前第4回の適材(在)適所でも云ったが、要は「バランス」なんだ。住まいにおける快適性を100%に近いところにするには一点豪華主義でもオールスターズでもダメよ。ダメ、ダメなんだな、コレが。
だから、住まいを創ろうと思う皆さんには、カタログ数値だけを比較するよりその性能を活かすべく現場ではどんな作業方法をとっているか…とか、どんな組み合わせで住まい全体のトータルバランスを整えているか…とか、そもそも現場を管理する人がどれだけのスキルを持ち、どれだけの向上心を持っているか…とかで判断してほしい。エラそうな事を云ったが現場人はそれを間違いなく・・だ。
でも本当は、そんな数値関係だけで判断するのはあまりお勧めしない。だって、そんな難しいところは我々が最初から同じものは二つとない(建売・集合住宅除く)立地や方位・間取りに合わせて十二分な(100%はあり得ないので、十分ではなく予め十二分を目指す)提案するのが当たり前でしょ。だってプロなんだから。
それよりも快適性に一番重要なのは人間の五感で最も記憶力の高い「嗅覚」を満足させる事だと現場人は思っている。だって、 いい匂いをかいだ時は幸せに感じたり、食欲が増したりするでしょ。反対に悪い匂いや嫌いな匂いをかいだ時ってどうよ。不快だし、食欲なくなるし、その場から離れようとする危険回避行動をとるでしょ。極端な例だが物凄く断熱性能に優れて暖かかったり涼しかったりする家に居ても変な匂いや匂いを感じなくても体に悪い揮発性の物質を鼻から吸い込んでいたとしたらどうよ。接着剤で固めた柱を「う~ん、木の匂い」何て言ってる場合じゃないのよコレが。
現場人が目指す住まいにおける快適性の定義は、性能数値実現を目指した上での「匂い」が実の所なんだ。
快適な住まいに於いて木材は壁の中だから…なんて「臭い物に蓋をする」はあってはならん事なのよ。